2024年4月、世界が変わった。父の死で生と死の対比を見たからだ。以来、昼と夜、覚醒と夢、冬と夏、正反対のものが混ざり合う感覚になっている。死を受け入れたくない、死で父から切り離されたくない、これまでそこにあった父の生と混ぜていたい。父の肉体は存在を絶ったが、父の不在が存在している。
今までの人生で、怒り、悲しみはたくさんあっても、憎しみの感情を抱いたことは自覚する限りあまりなかった、2023年6月、父の病発覚と同時に、すべてが明るみに出るまでは。あまりの理不尽さに、私の感情が爆発して、自分の感情の濁流に飲み込まれながら、なんとか息をしてきた。胸を引き裂かれる気持ちに何度もなりながら、爆発を抑えようとしてきた。他者をかばいつくしてきた父の望みに添うように。でも違う。
私は父の望みに私のやり方で添う。これは私の人生なのだ。父は自分を犠牲にしていってしまった。父を救えなかった意味を後悔でなく、どうやって反省にしていけるのか、模索は続く。1日の中で何度も実家の仏壇のある座敷を思い浮かべる。まだまだ落ち着かないかもしれない、けれど父の魂が少しでも安らかでありますように。
